誘電率測定・誘電正接測定

概要

回路基板やコンデンサに用いられる絶縁材料の誘電率、及び誘電正接を測定します。回路基板では低誘電率、低誘電正接の材料が求められることが多く、コンデンサでは高誘電率、低誘電正接の材料が求められます。
材料の誘電率を提示する場合は基本的に比誘電率が用いられます。比誘電率とは試料の誘電率と真空の誘電率(電気定数)との比になります。

対象規格:JIS C2138, IEC62631-2-1, JIS K6911, ASTM D150, IEC60250

構成

LCRメータ
使用装置 日置電機(株)製LCRメータ IM3536
測定周波数 4Hz~8MHz
試料寸法 平板 60×60mm以上, 円板 φ60mm以上

測定原理

試料表面に測定用電極を形成し簡易的な平行板コンデンサを作成します。試料へ測定周波数に設定した交流電圧を印加し、簡易コンデンサの静電容量、及び損失係数を測定します。測定した静電容量から計算式にて比誘電率を求めます。誘電正接は損失係数がそのまま用いられます。

比誘電率=静電容量×試料厚さ真空の誘電率×電極の面積

コンデンサ

測定電極

比誘電率・誘電正接測定ではアースにつながったガード電極を配置します。これは平行板コンデンサ化された試料の静電容量を正確に測定するために用いられる手法です。 平行配置された2枚の電極に電圧を印加すると図のような電気力線が生じます。ガード電極がない場合、直線ではない回り込むような形の電気力線が存在するため、本来の静電容量よりも大きい値が測定されてしまいます。 ガード電極を用いて回り込み分を除去することで、正確な静電容量の測定が可能となります。

誘電率測定の電極配置 誘電率の測定回路 コンデンサの電気力線

周波数掃引測定

比誘電率・誘電正接測定では特定の周波数を測定することが多いですが、周波数変化における比誘電率・誘電正接の変化を確認するために掃引測定が用いられます。
連続的に周波数を変化させ各点で測定を行います。比誘電率、及び誘電正接の周波数変化をグラフで表します。


誘電率の周波数特性

※アクリル板の比誘電率・誘電正接測定