引張せん断接着強さ試験(ラップシェア試験)

概要

接着箇所のせん断に対する強さを測定します。接着された2材料をズラして破壊する動きに対する強度が確認できます。
接着剤を対象に用いられることが主ですが、インサート成形材の強度確認にも用いられる場合があります。

対象規格:JIS K6850

測定原理

剛性材から成る長さ100mm×幅25mmの板を長さ12.5mm、幅25mmの寸法で重ね合わせ、接着します。
接着試験片の両端を掴み引張試験を実施することで、引張せん断接着強さを測定します。JIS K6850ではこの強さを重ね合せ接着強さという表現がされています。

重ね合せ接着強さ(MPa)=破断荷重(N)接着面積(mm2)

試験片

試験片に用いられる2枚の板は剛性材であることが定められています。 適切な強度の板を用いなかった場合、試験を実施する際に板が変形してしまい、正確な破断荷重が測定できなくなってしまうからです。
プラスチック材料などを用いる場合は厚い板を用いるなどして剛性を高める必要があります。

また試験板は想定される使用環境に合わせた材料を用いることが推奨されます。

破壊状態の観察

試験後に破壊箇所の確認をします。接着剤内部での破壊(凝集破壊)、接着剤と試験板の界面での破壊(接着破壊)、接着された板の破壊(基材破壊)などの 破壊様式を判別します。