摩擦係数測定(静摩擦係数・動摩擦係数)

概要

摩擦係数測定状況

摺動箇所で使用される材料に必要な摩擦係数を測定します。
摩擦係数とは物体を滑らせて動かすとき、物体を持ち上げるときの何倍の力が必要かを示す値となります。
摩擦係数測定は二つの材料を接触させて行います。摩擦係数は材料の組合せ、表面状態などによって数値が変化します。

対象規格:JIS K7125, ASTM D1894

測定原理

図のように二つの試料を接触させて静置し、試験荷重となる重りを載せます。上部試料に引き紐をつけ滑らせ、その際に発生する抵抗力(摩擦力)をロードセルにて計測します。

摩擦係数測定概略図

摩擦係数の計算

静摩擦係数=静摩擦力(N)試験荷重(N)

動摩擦係数=動摩擦力(N)試験荷重(N)


静摩擦力:静止した物体を動かし始めるために必要な力。測定チャートの第一ピークが静摩擦力にあたる。

動摩擦力:物体を動かし続けるために必要な力。測定チャートでは静摩擦力以降の箇所が動摩擦力にあたる。

試験荷重:上部試料と重りの質量に重力加速度(9.81m/s)を掛けた値。法線力と呼ばれる。

摩擦係数測定チャート

平滑面と凹凸面の摩擦係数

材料の表面が平滑な場合「ツルツルなので摩擦係数が低い」、凹凸がある場合「ボコボコなので摩擦係数が高い」とイメージされる方が多いようです。
実際に摩擦係数を測定してみると平滑面の方が摩擦係数が高く、凹凸面の方が摩擦係数が低くなります。

平滑面同士で摩擦させた場合、張り付くような状態になり摩擦抵抗が高くなってしまいます。凹凸面がある場合は張り付きが生じることなく、 凸面を転がるような状態で材料が動きます。そのため、凹凸面の方が摩擦係数が低くなります。 (凹凸が鋭利な材料では引っかき抵抗が発生する場合があります。)

この平滑面と凹凸面の摩擦特性を利用した技術がエスカレーターのステップに利用されています。人が立つ上面は平滑な金属を用いて摩擦係数を高くし、滑りづらくしています。
一方、側面は凹凸をつけ摩擦係数を低くし、靴が引き込まれるのを防止しています。(側面は凹凸だけでなくフッ素
コーティング処理などでさらに摩擦係数を低くしています。)

摩擦係数は材料自体の特性と材料の表面状態によって値が変化します。

静摩擦係数と動摩擦係数の関係

「静止摩擦係数は動摩擦係数より大きい」という法則があります。これはアモントン・クーロンの第四法則になります。
しかし実際に摩擦係数測定を行いますと、この法則に従わない材料があります。

摩擦面の平滑度が均一でなかったり、試料同士が張り付いてしまいますと法則は成立しません。
摩擦係数測定では試料を60mm~100mm程度、移動させます。この移動間での摩擦面の変化は、動摩擦係数に影響を与えます。 動摩擦係数が上昇し静摩擦係数を超え、結果として法則から外れることがあります。

このことから「静止摩擦係数は動摩擦係数より大きい」という法則は必ずしも成立するわけではないと言えます。

比較的、摩擦力が高い材料はアモントン・クーロンの第四法則から外れることが多くなります。